How to deal with Vintage Levi’s denim pants

不定期に更新されるジャーナル。またまた久しぶりとなってしまいました。

2022年はデザイナーに第二子となるお子さんが誕生したことで、Varde77の商品リリースはとても少ない育休という年になり、少しの動きしかないVarde77。

そんな育休のようなライフスタイルを満喫中のデザイナーに、現在の心境を伺うと共に、Varde77からは少し離れてヴィンテージのリーバイスにスポットをあてて、お話を伺いました。

●本日はヴィンテージのリーバイスについてお話をお聞かせください。特にRevival 90% products varde77のラインからもヴィンテージのリーバイスからインスパイアされたアイテムがよくリリースされるように思います。古着を好きになったきっかけがヴィンテージのリーバイスだったとお聞きしています。そこらへんのお話をお聞かせください。

Miyata:はい。宜しくお願いします。その前に育休と言っても、仕事はしています。笑 デザインや製作以外の仕事もたくさんあるんです!笑 とは言っても子育てに1番時間はとられています。。。Varde77の商品リリースは祐天寺の直営店を無くしたことで、いい意味で好きな時に好きな商品を作りたいと思うようになりました。ミュージシャンと一緒で、若い時は毎年アルバムをリリースしていても、年齢とともに何年かに一回のシングルリリースみたいな感じでいいかなと思っています。5年ぶりのフルアルバムもあり得るかもしれません。

話を戻して、、。

現在は古着はコレクションはしないで、着るものしかもたないようにしているので、偏りがあると思いますが、宜しくお願いします。

10代20代はリーバイスのデニムが大好きでした。単純に高校1年生ぐらいの時のヴィンテージブームに乗っかって研究し出したのですが、当時はマニアックが度を越して、年代別に縦糸と横糸のバランスを解体して研究したりして、当時の雑誌などにも掲載されていないディティール(ボタンや赤タブやステッチなどの製品の仕様)以外でも3cm角の生地を見ればだいたい年代が判別できるようになっていました。これはものを作るようになった時も、非常にこの知識があって重宝しました。新品のデニムの生地は未洗の生地でも経年変化したらどのようになるか、だいたい想像がつきます。リバイバルのラインからリリースされるデニムはリーバイスの60年代の色落ちに近いものが多いのもこのためです。

●なぜコレクションしなくなったのでしょうか?

Miyata: 20代は特に収集癖みたいなものが強かったのですが、古着コレクターの人たちと会ったりした時に、なんとなくおしゃれという感覚とは程遠い印象をうけて、1つの物としての価値よりも、コーディネートやライフスタイルの中の一部のファッションとして捉えたいという感覚になっていきました。それだけではなくて、10代から20代たくさん所有していたスニーカーがほとんど加水分解してしまっていたり、単純にものが多すぎて収納が足らなくなり、ものが多いと室内の景観を乱すこともコレクションをやめた理由かもしれません。他にも後輩にあげてしまったり、お店で売ってしまったりという、色々な理由から洋服だけではなく、基本的に使わないものは買わないという思想に変えました。

そもそも古着の会社に入ってバイヤーになってからは、お客さん優先で販売するのが大前提。

自分のことよりお客さんを大切に出来た方がビジネスはうまくいくと感じていたので、コレクターではなくなったのかもしれません。あと、好きなものが洋服だけじゃなくて、メガネ、靴、ギターやカメラ、インテリア、車、建築などいろいろあるから、全部収集するのは無理で、それぞれの分野でベスト3ぐらいを所有している感覚にしています。

●昔はリーバイスのデニムオタクだったとお伺いしましたが、その点をお聞かせください。

Miyata:高校生の頃は普通にVINTAGEショップを回って、いろいろ眺めている感じでした。大学に入ってからVINTAGEでもあまり値段が高くないミスプライスみたいなものを探し回って安い時は買っていました。その当時は例えばカットオフやダメージが多いと数千円とかで買えたので、ミシンでリペアを極めようとミシンの練習をよくしていました。糸の太さをデニムの織糸にあわせて、どこがリペアしてあるかわからないぐらいのレベルまで練習していました。そのリペアの練習をしている時に縦糸と横糸のバランスを年代別にみるようになっていきました。ある意味、少し変わったオタク要素があったように思います。2000年代のバイヤーがメインだった当時はアメリカの仕入れの際に基本的にディーラーはヴィンテージのデニムは値段表記をしてないところが多いのですが、ほとんど相場を把握していたので、絶妙なプライスを提示できたこともあり、交渉が上手でした。あと普通の小さな古着屋のバイヤーとは違って、全国の古着屋さんに古着を卸すためのバイヤーだったので、ボロ屋という倉庫で1日に何マン着もの洋服をみながらアメリカ中を旅していたので、圧倒的に服を見る量が多かったと思います。

●今までリーバイスのデニムとはどのような出会いがありましたか?

Miyata:若い頃は、お金もないので状態が悪くてもレアなアイテムに惹かれていた気がします。40年代の501xx大戦モデルといわれるアーキュエイトステッチがペンキの物やスレキの代わりにネル素材が使われているものだったり、506xxのジャケット(通常1stと呼ばれる)もフラップなし4つボタンのこれも大戦モデルだったりと、骨董品みたいなレアなものを所有していました。イエローステッチものに拘っていたり、ヴィンテージが好きな人がよくみるディティールに目がいっていた気がします。

今までで手に入れて1番嬉しかったのは29歳の独立してすぐの買付で出会った201XXというno.2デニム。これは1910年代の最高の状態と色落ち、サイズ感のデニムパンツでした。今売れば数百万するであろうこんな貴重なものも、もう紛失してしまいました。。。実家と自宅の段ボールをあさればもしかしたら出てくるかもしれないけど。。。コレクターとしての意識はまったくないので、管理がずさんなんです。

そのほかに色々あったヴィンテージデニムも、太って入らなくなったりして、当時付き合っていた彼女にあげたりしていました。昔のブログや雑誌には掲載してもらっているし、昔の彼女との歴史も含めて、その当時のいい思い出となっています。

●現在はリーバイスのヴィンテージデニムをどのように楽しんでいますか?

20代に全国の古着屋さんに古着を卸す古着バイヤーとしてプロになったときに、いい意味でも悪い意味でも、それまで雑誌などの情報に振り回されていたのに気がつきました。今みたいにインターネットもない時代だったから、雑誌一強の時代。古着ってやはりビジネスだから球数があるものでないと成り立たない。ヴィンテージとして打ち出されていたリーバイスの501xxや506xxといってもアメリカではただの当時の作業着だから、たくさん出回っていたんだとわかりました。古着屋さんもみんな同じようなものを求めていたのが、当時はつまらなく感じていました。特に僕が学生の時はヴィンテージの復刻ブランドブーム。色々復刻デニムの特集が組まれている時代でした。この時代を経験しているので、独立する時は復刻することはしたくないとかたくなに思っていました。

20代はアメリカに頻繁に出入りするようになって、古き良きアメリカみたいなイメージが少し変わってしまったというか、憧れというものが少し変わって、思い出を美化しないようになった感じがします。古着のバイヤーになってからは、雑誌にも出ないような、真の一点ものみたいなものにひかれるようになりました。それには古さとかはあまり関係なかった。だからリーバイスのような大きなブランドではなく、マイナーな誰も知らないようなものを探すことに興味がいくようになりました。

そんな天邪鬼な時期もありましたが、色々通過して、現在はどっちでもいい。笑

普通のヴィンテージでも変わった古着でも、他のものとのバランスをみて、価値ではなく、かたちや生地が気に入って自分に合うサイズならば、スタイルの一部としてとりいれています。特に最近は洋服をコーディネートするときは、乗る車や行く場所、会う人とのバランスも考えて、洋服を楽しんでいます。

●現在、着用しているお気に入りリーバイスのデニムをご紹介してほしいです。

Miyata:今は中年のおじさんなので、小汚い服はあまり着ないようになりました。

若い時は身体が綺麗だから、服がボロでもなんか様になるけど、今は基本的には古着のボロいのはそこまで着ないので、リーバイスのデニムは少し濃い色目が好みで、シルエットはコーディネートによって変えたいので、型番ごとにメインを決めてたまに着用しています。最近よく思うのだけど、ヴィンテージの服をきていても自分の体が45年前のヴィンテージだから当たり前じゃないかと、たまに恥ずかしくなるので、主張の少ないデニムをさりげなく着ることのが多い気がします。レアだからとかディティールがとかそういった紹介の仕方は僕らしくないと思うので、今の僕らしい観点で何着か紹介します!

① Levi’s 501 bigE A-type (1960年代)

Miyata:これはいわゆる王道な501 bigEなのですが、今まで色々な501を履いてきて、一番しっくりくるのは501の66前期モデルという少し下に向かって少しだけ細くなっているラインが一番しっくりきています。だからそれよりも昔のこのデニムはあまり登場回数がないのだけど、自分のサイズ感(w33×L32ぐらい)にあっているのと、今の気分の色の濃さがあるから一応紹介しておきます。

昔から履いていた66の前期はボロボロになってしまったので、今は色の濃くてサイズのあう66前期があれば買いたいです。

余談ですが、、、ダウンタウンが昔から大好きでした。

昔は浜ちゃんの服装の真似をする人はハマダーと呼ばれていたのですが(女性は安室奈美恵ブームでアムラー)、浜ちゃんの真似をしたハマダーぽい雰囲気のヴィンテージデニムは恥ずかしくて履きたくなかったんです。。。

ダウンタウンが好きすぎで、そのデニムの履き方、浜ちゃんじゃんと思うようになり、好きとは裏腹に真似をするような格好ができなくなるという現象が起きました。笑 だから501XXを腰で落として少し大きめに履くというスタイルはやっていません。笑

ディティールとかのヴィンテージトークよりこういう角度の話が好きです。笑

② Levi’s 606 bigE (1960年代)

Miyata:これは1960年代にリリースされたスリムのラインなんだけど、もしかしたらこのラインが一番気に入っているかもしれないです。スリムに履きたいというよりは、大きめサイズで履いたとしてもハマダーにならないからかもしれませんが。。。笑

太って履けなくなることも多々ありますが、最近ダイエットしてほとんどのデニムが履けるようになったので、このデニムもお気に入りになっています。

色落ちの好みは、ヒゲと言われるシワが強すぎるのもいやらしいし、色落ちがあまりしていないのもつまらないので、これぐらいの色落ちはかなり好きです。501よりも606のがもともとの球数が少ないはずなので、もう自分サイズは手に入らないかもしれません。。。

③ Levi’s 607 bigE (1966年)

Miyata:今一番の好みのLevi’sのヴィンテージデニムと言えばこれです。

かなりマイナーな品番でスポットを浴びたことがないはずなので、知らない人も多いかもしれません。②で紹介した606のシューカットバージョンです。有名な517とか646のブーツカットやフレアより前に少しだけ生産(たしか1966年の1年間ぐらいだけ)されていたモデル。これはかなりお気に入りなのでもう1本持っています。

生産されている1年間も僕にとってはドストライクな時代。50年代よりも60年代後半のリーバイスが大好きです。

うっすらと残る607の品番。非常に好きなので実は今まで一回も紹介したことがないです。リペアや改造がおこなわれていない607は最近もう見つけることが出来なくなりました。普通は517を紹介するかもしれないけど、今回はあえてこの607を紹介しました。

④ Levi’s 646 big E (1970年代)

Miyata:これは607の後継とも言える646のbig E。

これはインディゴの色の入り方に少し癖があるのと、何より裾が切りっぱなしになっているのがとてもお気に入り。60年代のビートニクの時代に企画されて70年代のヒッピーの時代を象徴するかのようなこのモデル。裾が切りっぱなしになっているというのも自由の象徴のような気がして当時の景色が目に浮かびます。普通は裾が切れられていると嫌だという人はたくさんいると思うけど、切りっぱなしの646 にビーチサンダルみたいなスタイルは20代からずっと好きです。多分昔からVarde77を好きでいてくれている人はブーツカットやフレアのイメージも強いかと思います。最近またブーツカットやフレアをよく履くようになっています。

⑤ 505 66後期 small e (1970年代)

Miyata:今は501のシルエットより505のが好きなので、濃いデニムが履きたいと思って、比較的最近手に入れた505。裾に向かって少し細くなっているシルエットは何故か自分にはしっくりきます。とはいっても501じゃないってことがいいのかもしれないけど、特に貴重なわけでもなく、気兼ねなく履けるのはデニムのいいところなので、このデニムは何も気を使わず、適当に履ける良さというものを持っている気がします。今まで66前期までしか着用する機会がなかったので、あえて後期を選んでみました。ある意味、未経験なスモールE。僕と同じ年齢のデニムなのでこらから同じように歳を重ねてみます。

⑥ Levi’s 519 big E (1960年代)

最後は番外編とも言える519。

Miyata:519といえばコーデュロイが有名で、僕も20代はコーデュロイばかり履いていて、この519というモデルにはとてもお世話になっています。

その519のモデルのデニムバージョン。しかもビックEの60年代物。

これはダウンタウンで言えば、ハマダーよりではなくて、まっちゃん寄りな薄いカラーのダメージデニム。ダメージデニムというより修理しまくったデニムと言いたい気がします。今話していて思ったけど、やっぱり501とかではなく、人があまりみないような品番の方が熱がはいっていると感じました。Varde77でも薄い色のダメージデニムはリリースしているけど、これもとてもお気に入り。なんだか価値のないものを、まだまだ大切にして履いている感じとかが自分的には最高の思想なんです。

こういった感じで、ヴィンテージの貴重性よりも、シルエットや生地感、自分のライフスタイルにあったデニムだけをメインに着用している気がします。

古着のバイヤーをしていて、普通のバイヤーがつまらないと感じていたからこそ、Varde77が出来て、16年が経過して、今すべてを受け入れることのできる自分がいると思っています。

これからも自分らしく、マイペースに進んでいきたいと思っています。

tops:Levi’s 557 3rd denim jacket

pants:Levi’s 607 big E

●古着のバイヤー目線とは少し違う、独自なヴィンテージリーバイスのご紹介ありがとうございました。次は愛車について紹介していただく予定です!お楽しみに!