About hobbies”CAMERA”

久しぶりのジャーナル更新!

今回はVarde77デザイナーの趣味にフォーカスをあてて取材しています。

第1回はカメラ編をお届け。

早速、質疑応答のかたちでご紹介します。

●カメラが趣味という事に気がついたのはいつ頃から?

15-6年前ぐらいにCANONの1眼レフを買って、ブログを更新するために写真を撮り始めたんです。そして、2012-3年にライカのコンパクトデジタルカメラを買ってから写真を撮るのが楽しくなったのを覚えています。だからカメラ歴はそんなに長くないです。

●カメラを好きになったきっかけ

上記にも書いたけど、ライカのコンパクトデジタルカメラのX1というモデルを買ってから、マニュアルで撮影するのが難しくて、いろいろ調べてはまっていった記憶があります。

●カメラ遍歴を教えてください

学生の時にSX-70だっけな?かっこいいポラロイドカメラを買ったのが初めてのカメラ。でもかっこいいだけで買った記憶があります。本格的にはCANONのなんとかDというデジタルカメラが一番初めで、そのあとにライカのX1というコンパクトデジタル、それと同時ぐらいにSONYのαシリーズを購入して、αシリーズは6000と7Ⅱと大きさ違いがあって、その後も買い換えたりして仕事用にずっと使っています。フィルムカメラのデビューはCANONのF-1というモデルでした。αシリーズは色々なレンズが使えるので、フォクトレンダーのレンズやオールドレンズが好きでよく組み合わせて使っていました。SONYのαシリーズは最近は仕事用として使っています。プライベートではライカM4,M-PとコンタックスT2が多いです。

●なぜ仕事用とプライベートで使い分けるのでしょうか?

撮影のやり方は色々なので気分次第なのですが、SONYのカメラは優等生でいろんなことが出来るし失敗する可能性が低い。それに視力問題でオートフォーカスが使えるカメラを仕事では選びたくなります。あとプライベートで普段持ち歩くのにはSONYのカメラは外観があまり好きではないってのが一番の理由かもしれません。ライカやコンタックスはコンパクトで持ち歩きもしやすいし、外観も気に入っている。とにかくライカは基本マニュアルなので難しい。でも難しいことで頭や感覚をフル回転して使わないといけないから、自分が成長していく感じがあるんです。特にM4みたいな機械式の60-70年代のフィルムカメラは露出計さえも搭載されていないので、露出を計算して絞りやシャッタースピードなど、その瞬間の環境を考えて撮影することになるので、緊張感もあり、それが楽しいのかもしれません。SONYのカメラは使い勝手や機能が素晴らしいので、誰でも簡単に綺麗な写真が撮れる感じだと思います。SONYはずっと使っているのですが、最近は綺麗な完成された写真ではなく、カメラやレンズの個性があるオールドの”くせ”みたいな写真が今は気分です。昔はボケ具合がどうとか考えることが多かったのですが、今は味や雰囲気重視です。


●カメラを好きになるきっかけを作ってくれた人

きっかけを作ってくれたのは父親ですね。父親は現在80歳。エルモという映写機の会社の技術者として勤め上げて、定年退職してからも写真が趣味でカメラが大好きです。だいぶ前にカメラの仕組みをしっかり叩き込んでくれました。

●大切なカメラの紹介

カメラ❶ BODY-LEICA M4 BLACK CHROME(フィルムカメラ) LENDS-SUMMILUX 50mm 1st

特徴

ボディとレンズともに70年代に製造されていたモデル。同じライカ製の露出計やハンドグリップをつけてメカっぽくカスタムして使っています。すべてなかなか手に入らないパーツで組み合わされた貴重なモデルです。

実際に撮った写真

このM4にはいろいろなレンズを付けることが多いです。特にシュナイダー社とライカ社が一緒に開発した60年代のスーパーアンギュロン21mmと21mmファインダーをつけた時のフォルムが実は一番好き。現代のフォクトレンダーのレンズも組み合わせることも多いです。娘と公園にいるときに適当に撮った1枚。

カメラ❷ BODY-LEICA M-P BLACK PAINT(デジタルカメラ) LENDS-SUMMICRON 35mm 2nd 初期ツノ付き


特徴

ボディは2015年ごろに発売されたモデル。レンズは70年代製。ブラックペイントの経年変化がお気に入り。

実際に撮った写真

デジタルなので一番持ち歩くことが多いカメラ。このカメラもレンズを付け替えて使っています。当たり前の日常を切り取ったような写真を取ることが多いです。モノクロモードで撮影した中目黒駅。

カメラ❸ CONTAX T2(コンパクトフィルムカメラ) LIMITED BLACK


特徴 90年代に発売していたフィルムカメラ。ブラックは限定色で貴重。

実際に撮った写真

とって出しの写真の質感としてはこのコンタックスT2が一番好き。これは友人の家族と一緒に旅行に行った時に適当に撮った写真だけど、フィルムカメラらしいというか癖もあって、お気に入り。コンタックスのTシリーズは妻と共有用にもう一台所有。

●今まで撮った中で気に入っている写真を見せてください

これは半分仕事モードぐらいの気持ちでスタッフの山口をSONYのα7Ⅱ×Voigtlander NOKTON 50mm で撮った写真。スタッフの山口は気兼ねなく接することのできる友人なので、自然なスナップが撮れて洋服も似合うので撮影していて楽しい。

●カメラのこだわりは?

こだわりかどうかわからないけど、カメラに限らず使わないものは買わないようにしています。もともと靴とかデニムとか収集癖があったのですが、ものが増えすぎるため、収集するということはしないようになりました。実際に使うものだけを自宅に置いて、使わないものは人にあげたりしています。レンズも21mmはこれ、35mmはこれと、サイズによって1番を決めて、使うものだけを持っています。

●今欲しいカメラは?

SONY α1orα7sⅢ

●カメラエピソード
最近はインスタグラムとかにハッシュタグで#ライカというタグをつけることもあるんだけど、タグをつけるようになったらライカ好きのいろんな人から連絡がもらえるようになった。ライカは歴史のあるブランドだし、信念みたいなものが強いブランドなので、いろんな人を魅了して趣味の輪を作ってくれるすごいブランドだと実感しています。最近だとスタッフのNAOや元スタッフの八木下俊も相談にきてカメラを買っていました。(笑) もともとオタク気質なのでライカのMシリーズの歴史についてはだいぶ詳しいと思います。

●現在使われてるメイン機はSONY,LEICA,CONTAXということですが、それぞれの魅力を教えて下さい。

ブランドというか、僕のお気に入りが最新技術に関してはSONYのαシリーズ、歴史に関してはLEICAのMシリーズなんです。ライカのオールドレンズをSONYのαシリーズで使ったり、VoigtlanderのレンズをライカのMマウントで使ったり、新旧ひっくるめて互換性も考えて使っています。
コンタックスのコンパクトフィルムは本当は妻用に買ったのですが、写真の雰囲気が気に入りすぎたのと、持ち歩きのし易さで、最近フィルムではメイン機になってきています。

LEICAのレンズはドイツ製のものを使っていると聞きました。カナダ製やポルトガル製のものも流通していますが、原産国も考えて購入しましたか?

僕の使っているMシリーズはドイツ製かカナダ製しかないと思います。たしかRマウントがポルトガル製もあったのかな。
基本的に原産国は気にしてないつもりでいるんだけど、ボディがドイツ製だからレンズもドイツ製のが気持ちいいって感じるくらい。カナダ製のが精度が劣るとか気にする人もいるけど、それは工場の人しかわからないことだから、使ってみて気持ちよければいいと思っています。ただ、持ってるのは全部ドイツ製です。

●ブラッククロームではなくブラックペイントのものを探していたとお聞きしましたが、やはり洋服同様に経年変化を楽しみたいという視点から選ばれたのですか?

デジタルはブラックペイントで探しました。これから自分で長く使いたいから、自分の味が出せるブラックペイントにしました。ライカにハマると誰もが一度はブラックペイントにいきつくのではないでしょうか。笑
あと、ライカに関して言えば歴史的な背景が好きなので、最新型が出ても飛びついたりしません。ただ最近、M10モノクロノームは欲しい。逆に60年代にメインで製造されたM4のブラックペイントはすごいプレミアがついてるから、手に入りにくいけど、中古で誰かが出した味を手にするしかないので、経年変化のないブラッククロームの方が自分にはあっていると思って使っています。
プレミア(定価以上)がついてるものはあんまり買いたくないんですよね。貧乏性の古着のバイヤー気質なので。。。
ちなみに縁起担ぎにシリアルNO.に3810(ミヤタ)と入ったものを見つけて手に入れました。(笑)
カメラはブラックが好きだし、ボディとレンズの組み合わせもあるから基本ブラックにしているけど、ブラックばかりもっているとシルバーも欲しくなる。(笑)

●なぜM10モノクロノームがほしいのでしょうか?

大した理由はないのですが、ネットで調べてもらえればわかると思いますが、M10モノクロノームはデザインがいたってシンプルでLEICAと一目でわかるようなデザインではありません。LEICAのカメラで一番シンプルなのではないでしょうか? そして、150周年モデルのレンズもグレースケールで統一されている珍しい色味です。そして写真自体もカラーを排除することで見える世界があると思うんです。白黒だとカラーの時よりもっと光を気にするだろうとかね。僕は目の病気持ちなのですが、視力が悪くなったときには匂いが敏感になったり他の部分が発展する感覚がなんとなくわかります。とはいえ、M4にモノクロフィルムを入れれば同じ体験が出来るので多分買いません。(笑) そういったことを踏まえて、ライカはその人の感性にうったえかけてくる唯一のカメラブランドだなと感じます。

●様々なレンズを所有している中で、ズミクロンの35mmレンズをメインで使っている理由を教えてください。

前はボケが出てる写真が好きだったけど最近はボケよりも雰囲気や感覚を大切にして粗い質感、手ぶれ、色のアンバランスなんかも楽しみながら写真を撮っています。
だから、明るいレンズというものに拘らなくなったので、F2でいいし、この年代のものの中ではクセが強すぎないので1番使いやすいのだと思います。
好きな写真家の写真集を見ていても好きな写真はボケていない写真のが多いことに気がついて、いつからか綺麗じゃなくてもいいという感覚を大切にするようになりました。
風景もポートレートも35mmだとどちらも対応出来るので、35mmがメインになっています。
娘を撮影するときは、35mmだと寄りすぎで構えられてしまうので50mmのが撮影しやすい。娘に限らずポートレートは50mmのが自然な表情が撮れる気がします。オールマイティという意味では35mmがメインです。
最近のカメラはISOが素晴らしいので暗いレンズでもいい作品が撮れるため、マイナーブランドの暗いオールドレンズも気になっています。ライカに限らず相性のいいレンズを探し続けたい。

●たくさんあるカメラの中でライカのM4,M-Pを選んだ理由を教えて下さい。

ライカの歴史を研究していると、まずM4が機械式のカメラというものの完成型な気がしています。M4は電池を使わない完全な機械式で露出計を搭載していないので、壊れにくくて長く使えるという点も魅力です。
ライカ社はM5を70年代にリリースして、評判悪く売れずに経営が悪化して再度M4をリリースしています。その再リリースしたM4を僕は使っています。M4の中では後期ということで、古すぎない年代で状態がいいので気に入っています。そのM4の後に満を辞してライカの赤いマーク付きのM6が発売されます。経営を立て直すために売れるようにわかりやすいマークをつけて販売をして、それがヒットして経営が立ち直ります。ライカの歴史を調べると、撮られる人がカメラを意識しないように本来はカメラの存在が目立たない方がいい(だからオールブラックがいい)という理念が見え隠れするため、目立つ赤いマークは売るための戦略で本心は付けたくなかったのではないかと勝手に推測しています。ライカはPというプロをターゲットにする型番をリリースするのですが、Pモデルにはだいたい赤マークがついていません。そこになんだかライカ社の気持ちが反映されているように感じてしまいます。真実はわかりませんが、、、ライカに関して僕は過去を重んじるときは赤マークなし、未来を重んじるときは赤マークつきと勝手な理解をしています。だから、ライカの歴史が好きな僕は赤マークなしのM4,M-Pを選んでいます。でも実はM6も欲しい。。。

●写真を撮る時、意識していることは?

極力、大掛かりなライティングとかは組みたくなくて、自然なシュチュエーションで被写体が構えないような写真のが好きです。前は仕事で撮影するときはライティング、セッティングを組んでパソコンに繋いで、プロが撮影する時のように、色々セッティングをしていたのだけど、なんか理想とイメージしている絵が違って(単純に技術の問題かもしれないけど)、最近は撮る側の僕は極力目立たないような撮り方をするのが好みです。パソコンやカメラモニターで撮った写真をすぐみることもあまりしなくなりました。デジタルでもフィルムカメラみたいにモニターを見なくて撮った写真のが、なんだか好きなことが多いんですよね。だから、ライカが近年リリースしたM10-Dというモニターなしのデジカメは他のブランドがリリースしない信念のある開発だと共感しました。写真は自分らしく自由に撮るのが1番だと感じます。僕は自分の作風が定まっていないので、いろんなレンズを試して、より好きなものをみつけたいし、より自由に機材を選んでいきたい。でも、最終的に”写るんです”みたいなシンプルなカメラにいきつきそうだと密かに思っています。(笑)

●今後カメラで挑戦したいことは?

人が撮らないようなやり方に挑戦したい。
例えば大好きなダウンタウンから僕に写真のオファーが来たとしたら、”写るんです”の24枚撮りのうち23枚使ってしまって残り1枚しか撮れない状態で現場にいく。ずっとカメラを向けずに、大好きなトークだけをして、その現場の1番いい状態で急に1枚だけシャッターを切るみたいなやり方なんかいいと思います。その時の”写るんです”はオールブラックに塗りつぶして持っていきます。笑
わけわからない回答してすみません。(笑)
そうそう、最近ライカに装着出来る”写るんです”のレンズの改造品¥2200を買いました!笑
何十万円のカメラボディに¥2200の適当なレンズのギャップはたまらないです。(笑)

●ライカのモノづくりは、頑固なほどに変わらなぬ部分と、現代に合わせて変化している部分もある。Varde77のものづくりのあり方とどこか似ているように感じます。

それは光栄なことです。
Varde77に関しては服作りのあり方も提案の仕方も時代にあわせるというより、今の自分の感覚にあわせて変化していきたいと思っています。
ずっと基本1人で洋服のデザインをやってきた以上、変化していかないと飽きてしまって続かなくなる。でも変わらない好きなものもある。その両方が大切なんです。ブランド立ち上げから16年経った今はちょうど大きな改革のタイミング。Varde77もライカのプロモデルのように目立たないけど、やりたいようにやります的な新たなやり方で進めていきたいと思っています。
ものつくりも趣味の買い物も同じような感覚で好きなものと向き合っているので、作るものと選ぶものに共通点が多い気がします。

●今後のカメラライフで考えていることは

今は自分で運営しているブランドの写真しか仕事では撮りませんが、現在周りにミュージシャンなど魅力的な人がいるので、そういう人を仕事としていつか撮影してみたいです。

●これからカメラも購入を考えてる人へメッセージ

仕事と趣味で使うのとでお勧めはだいぶ変わりますが、外観で選ぶのもとても大切だと思います。車とかも性能で選びすぎると運転が楽しくないけど、少々ポンコツでも外観が気に入っているのは乗るのが楽しい。カメラも同じで、持ち歩くために外観が需要だと思っています。(笑)

あと僕は20代はたくさん海外に行っていたのにカメラを持ち歩いていなかったことを後悔をしています。始めるならすぐはじめましょう!(笑)

今回はデザイナーの趣味”カメラ”編をお届けしました!

次回はギター編を予定しております。

お楽しみに!

Interviewer Nao Photo Hiroyuki Miyata